違いを説明できますか?パッシブエクスプロイトとアクティブエクスプロイト
『現代ポーカー理論』プレゼントキャンペーン実施中!!

本記事は『Modern Poker Theory』の抜粋です

本記事はマイケル・アセベイドー著『Modern Poker Theory』の第2章の一節「Exploitative Play vs GTO」の抜粋です。

パッシブエクスプロイトとアクティブエクスプロイト by マイケルアセベイドー

受動的な搾取(パッシブエクスプロイト)

弱い相手に対してGTOをプレイすることは儲かるのか?

GTO通りにプレイしているプレイヤーとGTOではないプレイをしているプレイヤーがヘッズアップでプレイしているとしましょう。このとき、後者のプレイヤー(GTOではないプレイをしているプレイヤー)は、自身の戦略がGTOラインから離れる分だけバリューを逃がすことになります。そしてこのプレイヤーが逃した分のバリューは、当然相手であるGTO通りにプレイしているプレイヤーの利益となるのです。

この現象は、受動的な搾取( パッシブエクスプロイト[英 Passive Exploitation])と呼ばれます。なぜ受動的かというと、相手から追加のEVを得るために能動的なアジャストをすることはせず、ただGTO戦略をプレイする以外何もしないからです。

能動的な搾取(アクティブエクスプロイト)

一方、能動的搾取(アクティブエクスプロイト[英 Active Exploitation])は、相手のリークを利用するために自分自身が積極的にGTOラインから外れたアクションをとることです。

HUSNGで、プレイヤーはプッシュ/フォールドの2択のアクションのみを取れるものとします。ブラインドは0.5/1bbで、エフェクティブスタックが15bbです。HeroはSBにいて、そのときのGTO戦略は45.7%のハンドでプッシュすることだとします。

ここで7タイプのVillainについてそれぞれ考えてみましょう。

  • GTOプレイヤー:SBの15bbのオールインを28.5%の頻度でコールしてきます。
  • 10% ルースプレイヤー:GTOプレイヤーよりもしぶとく、SBの15bbのオールインを31.4%の頻度でコールしてきます。
  • 25% ルースプレイヤー:このプレイヤーはさらにしぶとく、SBの15bbのオールインを35.6%の頻度でコールしてきます。
  • 100% ルースプレイヤー:このプレイヤーはフォールドするのが大嫌いで、SBの15bbのオールインを57%の頻度でコールしてきます。
  • 10% タイトプレイヤー:GTOプレイヤーよりもタイトで、SBの15bbのオールインを25.7%の頻度でコールしてきます。
  • 25% タイトプレイヤー:このプレイヤーはさらにタイトで、SBの15bbのオールインを21.4%の頻度でコールしてきます。
  • 50% タイトプレイヤー:このプレイヤーはスーパータイトなNitで、SBの15bbのオールインを14.3%の頻度でコールしてきます。

下表で、上記7タイプのプレイヤーそれぞれに対してGTOをプレイしたときのEVと、MESをプレイしたときのEVをまとめました。また、VillainがGTO通りにプレイしたり、カウンターエクスプロイトしてきたりした場合のHeroの潜在的なEVロスもまとめてあります。

さまざまなタイプのVillainを相手にした時のEVの変化


 

最大搾取戦略 / MESとは

最大搾取戦略(Maximally Exploitative Strategy。以下、MES。) は、相手にリークが存在するときに、こちらのEVが最大となる戦略のことです。


表からもわかるように、HeroがGTO戦略をプレイし、相手もGTOをプレイすると、追加で得られるEVも、失うEVもどちらも0になります。しかし、HeroがGTO戦略をプレイし、相手が非GTOのプレイをしていると、相手がどれくらいGTOから外れているかによって、Heroは追加のEVを得ることになります。

7タイプの相手それぞれに対するMESで得られる追加EVを平均すると6.4bb/100になりますが、MESを採用するということはHeroもGTOから外れ、リークを生み出すことになります。もしもVillainがこのリークを突き、カウンターエクスプロイトしてきたとすると、その際に失うEVは15.62bb/100です。

GTOの2倍の頻度でコールしてしまうようなとても弱い相手に対してでも、MESが得られるEVはGTO比で+6.3bb/100に留まり、このときカウンターエクスプロイトされると2.5bb/100の損失になります。

Villainが50%タイトにコールしてくるタイプのプレイヤーの場合にMESのEVは最大になります。このときのMESのEVはGTO戦略よりも24.6bb/100多くなります。しかしカウンターエクスプロイトされた場合の損失は、実に62.4bb/100にも及びます。さらに、この場合のHeroのMESは100%の頻度でオールインするというものなので、Villainはこちらがアジャストしているということに簡単に気づくでしょう。

MESは一定のリスクを伴います。MESを採用することで追加のEVを得る可能性があるのは確かですが、こちらのやっていることが相手にバレてしまってカウンターエクスプロイトされたときに失うEVは、MESから得られるEVよりも大きいのです。また、相手のリークを見誤って(ちなみにこれは結構頻繁にあることです)間違ったアジャストをしてしまうことによるEVロスも考えられます。以上のことから、相手を最大限エクスプロイトしようとする場合は十分な注意が必要ですし、自分の読みに相当な自信を持っているときに限るべきでしょう。

著者:マイケル・アセベイドー
翻訳元の記事:Exploitative Play vs GTO

※ 本サイトの全ての翻訳記事は著作権者の許諾のもと翻訳、公開をしております。

本気でポーカーを上達させたいあなたへ

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事