GTOも!エクスプロイトも!ドンクベット入門

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ドンクベットの使い方がわからない!

ドンクベットは1度は廃れた戦略ですが、ソルバーの導入以降ここ数年で再び使われるようになりました。今回は海外プロのマット・アフレックによるドンクベット入門をお届けします。ドンクベットの定義から、GTO的な使い方、そしてエクスプロイト的な使い方まで網羅的に、そして丁寧に解説されています。次のような方にはきっと響く内容になっているはずです!

  • トッププレイヤーたちがドンクベットを使っているのは知っているけど、自分の戦略には取り入れられていない
  • ドンクベットがどのようなスポットで役立つのかを理解したい
  • ドンクベットでどんなリークをエクスプロイトできるのかを知りたい

ドンクベット入門 by マット・アフレック

先日、Twitterでドンクベットについての質問をいただきました。どんなときにドンクベットをすべきなのか、そしてドンクベットを使う場合戦略全体をどのように変えなくてはいけないのか、という質問でした。ということで、今日はドンクベットとは何か、エクイティとベットの関係、後半のストリートでのドンクベット、そしてドンクベットを使ったエクスプロイトプレイについて解説していきます。

ドンクベットとは

ドンクベットの定義は、アグレッサーに対してOOPからベットすることです。ストリートは関係ありません。つまり、フロップでプリフロップのレイザーに対してベットをすればそれはドンクベットになります。フロップでCBを打った相手に対してOOPからターンでベットをすれば、それもドンクベットです。ドンクベットはプローブベットと混同されやすいですが、プローブベットというのは、前のストリートがチェックで回った後にOOPからベットすることです。例えば、プリフロップのあ具レッサーがフロップでCBを打たずにチェックバックして、ターンでBBがOOPからベットをしたような場合です。ドンクベットとプローブベットは実際には大きく異なるものです。なぜならレンジが大きく異なるからです。

エクイティがあるからベットできる

エクイティはポーカーの全てである、と言っても過言ではないでしょう。ポーカーの話をしている限り、表面的な言葉は違えど何らかの形でエクイティの話をしているのです。エクイティは、ポーカーにおけるあらゆる意思決定の土台になるものです。

MPのプレイヤーが上位20%のハンドで2.5bbにオープンしてきた場合、こちらがBBにいればおよそ60%のハンドでディフェンスすることになるでしょう。3ベットレンジは、AA, KK, 一部のQQ, JJ, AK等のハンドになります。エクイティとポットオッズを考えると、コールレンジには全てのスーテッドハンドと弱いオフスートのハンドが含まれることになります。

フロップにどんなカードが落ちようと、MPのプレイヤーのエクイティは常にこちらよりも大きくなります。4s5s6sのようなフロップはBBにとって最高のケースですが、その場合ですらMPが51%のエクイティを持っています。BBのレンジには 87o, 32s, 65o, 54o 等のハンドがありますが、それでもレンジ全体のエクイティはMPに負けているのです。

ポーカーにおいてベットできる理由は単純明快で、それはエクイティがあることです。レンジ内のエクイティの分布やナッツアドバンテージなど、エクイティの中にも考慮すべき要素はいくつかありますが、一般的には保持しているエクイティが多ければ多いほど、高い頻度でベットすることになります。

上述の通り、フロップではBBは常にエクイティで負けているので、プリフロップのレイザーに対してドンクベットをすべきスポットは絶無に等しいといえます。したがって、BBからはより強いレンジを持っているIPのプレイヤーへ毎回チェックして、相手のベットに応じて適切なアクションを決定するのが良いでしょう。

ドンクベットが有効なスポットとは

BBからのドンクベットが有効になるスポットも存在します。先ほどと同じ状況で考えてみましょう。MPは上位20%のレンジを持っており、BBは3ベットするAA, KK, QQ, AKsを除いた60%のレンジを持っています(下図)。

▲MPのレンジ(左)とBBのレンジ(右)

フロップには次の3枚が落ちました。

Ad/8c5d

BBがチェックし、MPが1/3ポットのベットをしました。BBがコールし、ターンには4dが落ちました。ストレートもフラッシュも完成するので、かなりダイナミックなターンカードと言えるでしょう。両者のレンジの重要な違いは、フラッシュのコンボ数にあります。BBは全てのスーテッドハンドがレンジありますし、加えてMPは持っていない76oもレンジに入っています。MPのレンジに最も濃いフラッシュはAハイフラッシュですが、今回はAdがボードに落ちているのでMPのレンジには存在しません。したがって、このターンボードではフラッシュもストレートもBBのレンジに多いということになります。

ここで、フロップのアクションを振り返ってみましょう。Ad8c5dのフロップでは、MPはBBに対してエクイティで大きく優勢でので100%の頻度でベットすべきです。MPのレンジには全てのブロードウェイや99-KKなどのハンドが含まれます。

そして、MPが100%の頻度でベットすべきもう1つの理由は、このボードでのBBのレンジの大半が屑手だからです。フロップのベットに対して屑手は全てフォールドするので、ターンカードなんであろうとターンが開く時点でBBは何かしらのハンドを持っていることになります。それに加えて、今回BBのレンジに有利なカードが落ちたことによってBBのエクイティが大きく優勢になりましたので、BBはかなりの高頻度でベットするべきです。

このように、両者のレンジの構成を大きく変えるようなカードがターンかリバーで落ちた場合、とりわけBBのレンジに有利なカードが落ちた場合は、ドンクベットが有効な戦略となりえます。

エクスプロイト戦略としてのドンクベット

最後に、エクスプロイト戦略についてみてみましょう。ここまではGTOの観点からドンクベットについて解説してきました。GTOではハンド単体ではなく、レンジ全体のEVを最大化する戦略を取ります。例えば、同じくMP vs BBの状況で、フロップが853rだとしましょう。87のようなハンドは単体で見ればバリューもありますしオーバーカードに対してプロテクトもしたいのでベットするのが良さそうです。

しかし、レンジ全体を見ると、やはりチェックすべきなのです。なぜなら、87や98のようなハンドをベットしてしまうと、チェックレンジが弱くなりすぎてしまうからです。なので、87でベットしたい気持ちを抑えることで、レンジ内の他のハンドをプロテクトしレンジ全体のEVを向上することができるのです。その結果、ベットとチェックに対して無差別になります。

弱いプレイヤーが相手の場合は、このようなレンジのバランスは無視して搾取的にプレイすることができます。例えば、もしも相手がT9やJTのような弱いツーオーバーでこちらのドンクをレイズしてこない場合、ドンクベットは利益的なプレイになります。また、A9oのようなチェックバックしてフリーカードが欲しいようなハンドをフロップでフォールドさせられるような場合も有効でしょう。さらに、相手がツーオーバーを毎回チェックするような相手の場合は、ドンクベットでフリーカードを与えるのを防ぎ、エクイティを放棄させましょう。

ドンクベットをするときには理由がなくてはなりません。そしてその理由は、相手のミスプレイに起因するものでなくてはならないのです。

以上のように、相手のリークをエクスプロイトしてEVを最大化していきましょう。

まとめ

特定のリークをエクスプロイトすることが目的の場合を除いて、フロップではドンクベットをすべきではありません。ボードが大きく変わる(ストレートやフラッシュが完成する、ボードがペアになる)ターンカードが落ちた場合、BBからドンクベットをするのは非常に強力な戦略となるでしょう。ターンもしくはリバーにラグが落ちた場合は、両プレイヤーのエクイティに変化がないのでドンクベットは絶対にすべきではありません。

最後に、エクイティはポーカーにおける全ての戦略の土台です。レンジとボードの関係、そして異なるボードにおける各レンジのエクイティを考える習慣を身につけましょう。ターンとリバーでどのカードが落ちたらエクイティが逆転するかを見極められるようになれば、ドンクベットを上手く使えるようになるでしょう。

著者:マット・アフレック
翻訳元の記事:Donk Leading

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