連載 中級者のためのドロー徹底解説 第1回(1/6)|ドローの基本

この記事の目次

本連載について

私がポーカーコーチとして活動している中で、ポストフロップで1番よく見るミスプレイは、ドローのプレイです。ということで今回はドローだけをテーマに、連載を丸々1つ書きました。この連載を読み終えるころには、多くのスポットで自信を持ってドローをプレイできるようになっているでしょう。

第1回で解説すること

各種類のドローをIPまたはOOPからどうプレイすべきかを詳しく解説する前に、まずはドロー一般についてと、ドローをアグレッシブにプレイする場合の目的についてお話します。なぜなら、基本的にはどんなドローをプレイするときもこれらを押さえておくことが重要になるからです。

例えばフロップでナッツフラッシュドローができたときは、基本的にはフォールドすべきではありません。つまり、ナッツフラッシュドローを持っているときに問題になるのは、パッシブにプレイ(コールまたはチェックコールでドローが完成するのを待つ)すべきか、それともアグレッシブにプレイ(レイズまたはチェックレイズ)すべきかということです。

本連載の次回以降の記事で、どのようなドローをパッシブにプレイして、どのようなドローをアグレッシブにプレイすべきかについての私の意見を詳しく解説していきます。しかしそれらを理解していただくためには、まずはドローをアグレッシブにプレイする際の目的を理解していただかなくてはなりません。

ドローをアグレッシブにプレイする目的

ドローをアグレッシブにプレイするときは、ポットをその場で獲ることが目的でなければなりません。例外はありますが稀です。ハイレベルのプレイヤーたちは後のストリートのことを考えた上で、ターンでのレンジのバランスを保つためにアグレッシブなレンジにドローを加えることがあるのです。しかし、このように複数のストリートにわたるベットレンジのバランシングについては本連載では扱いません。ですので、このような例外はさておき、今回の連載ではドローを持っているときはその場でハンドを終わらせられるのが最も嬉しいという原則のもとに進めていきます。

この原則に対して疑問をお持ちの方もいるでしょう。
「でも、ストレートフラッシュドローを持ってるときはどうなんですか?こちらがフェイバリットなんだから、その場でハンドを終わらせない方がいいのではないですか?」
質問をお返しします。あなたのストレートフラッシュドローが相手のハンドに対して60%のフェイバリットだとします。60%の頻度でポットを獲るのと、100%の頻度でポットを獲るのと、どちらが良いですか?相手が毎回フォールドしてくれた方が良いでしょう。

ストフラドローでも相手を降ろしてしまうべきか

納得できませんか?例を見てみましょう。あるトーナメントでTc7cを持っていて、フロップが9c8c2hなので、あなたにはストレートフラッシュドローとオーバーカードが1枚あります。一方相手はAh9hでトップペアとバックドアフラッシュドローを持っているとします。 Advanced Poker Training Odds Toolで計算してみると、あなたには18枚のアウツがあり60%のフェイバリットであることがわかります。

ポットには10,000点のチップがあって、あなたも同額のチップを持っていてポットサイズのオールインをするとします。この場合、相手にコールしてほしいですか?それともフォールドしてほしいですか?あなたは60%のフェイバリットであることを忘れないでくださいね。

実際は、相手がフォールドした方が得なのです。相手がフォールドすればポットにある10,000点が丸々あなたのものになります。一方、相手がコールしてきたらポットは30,000点になり、あなたは60%の頻度でポットを勝ち取ることになります。つまりあなたは長期的には18,000点を得ることになるのですが、10,000点の出費もありますので、利益は8,000点になります。相手がフォールドすれば10,000点の利益が手に入ることを思い出してください。

セミブラフの金言

したがって、数少ない例外を除いては、セミブラフをするときは相手にフォールドしてほしいのです。そして次の金言が成り立ちます。

セミブラフをするときは、フォールドエクイティが最大となるベットサイズを選ぶべし

別の言い方をすると、セミブラフをするときはオールインをできるようにアクションを組み立てていかなくてはなりません。スタックがショートなことも多くフロップでのオールインが起こりやすいトーナメントでは特に重要です。

これについては、クィ・グウェンとの共著であるFrom Vietnam To Vegas: How I Won the WSOP Main Event(D&B Publishing;日本語未訳)の54ページ以降でも詳しく解説していますのでそちらもぜひご参照ください。トーナメントにおけるアグレッシブなプレイについては最高の1冊ではないかと自負しております。

実際のハンドを例に解説

さて今回は拙書でも紹介しているハンドを例に解説していきます。WSOPメインイベントをプレイするクィ・グウェンになったつもりでハンドをみていきましょう。

ポットには5,000,000点あり、スタックは25,000,000点持っていて、相手にはカバーされています。オリジナルレイザーである相手プレイヤーに対し、あなたはOOPでモンスタードローを持っています。このハンドをどうプレイすべきでしょうか。選択肢は次の3つです。

  • 戦略1(不正解):5,000,000点をベットする。相手は15,000,000点のレイズを返してきて、25,000,000点のリレイズオールインをする。残念ながらこのオールインは小さすぎて相手にほぼ全てのハンドでコールするポットオッズを与えてしまいます。
  • 戦略2(不正解):チェックレイズする。相手が4,000,000点のベットをし、12,000,000のチェックレイズを返します。すると相手はコールか、リレイズオールインをしてくるでしょう。あなたにとっては望ましい結果とは言えません。
  • 戦略3(正解):2,500,000点、つまり1/2ポットサイズのベットをする。相手は7,500,000のレイズを返してくるので25,000,000のリレイズオールインをします。すると相手は大きなオールインに直面し難しい判断を迫られます。強いハンド以外はフォールドせざるをえないでしょう。

その他の諸条件が同じだと仮定すれば、フォールドエクイティを最大化できるのは戦略3です。よって戦略3が最も利益的なプレイとなります。

まとめ

これまでお話したのは、ドローをアグレッシブにプレイすべきであるという前提が成立する場合に限定した話です。アグレッシブにプレイすべきドローもあれば、パッシブにプレイすべきドローもあります。次回は、それらを見分けるための考え方を解説していきます。お楽しみに!

著者:スティーブ・ブレイ
翻訳元の記事:Playing Draws, part 1

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